機械物やエンジンの整備作業を行う際、スタッドボルトを外す必要が出てくることがあります。
スタッドボルトは、両端にネジ山が切られたボルトのため、通常の工具で簡単には締め付けが出来ません。
専用のスタッドボルトセッターを使うのが一般的ですが、必ずしもすぐに手元にあるとは限りませんし、状況によっては手早く行いたい場合もあります。
そこで便利なのが、「ダブルナット」という手法です。ダブルナットのテクニックは、その名の通り、2つのナットを使ってスタッドボルトを簡単に締め付けるための方法です。
この方法を使えば、必要最低限の工具で作業できるうえ、意外な場面で頼りになるシンプルかつ効果的なテクニックです。
この記事では、ダブルナットを使ったスタッドボルトの締め付けの方法について、具体的な手順や作業時のポイントを詳しく解説します。
初心者でもわかりやすく手順を解説し、コツや注意すべき点にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください!
目次
スタッドボルトとは?締め方が特殊な理由
スタッドボルトとは、両端にネジ山が切られたボルトのことです。通常のボルトと違い頭部がないため、スパナやレンチで直接つかむ場所がありません。
スタッドボルトはエンジンや配管フランジなど、脱着を繰り返す箇所に多く使われます。取り付け対象物に植え込まれた状態で使用するため、「植え込みボルト」とも呼ばれます。
頭部がないため通常の工具でつかめず、締め付けには特別な方法が必要です。
代表的な方法がダブルナットを使う方法で、現場でも広く使われています。
なぜダブルナットで締めるのか
ダブルナットとは、ナットを2つ重ねて使う方法です。
2つのナットを互いに締め合わせることで、ボルトに「つかみ代」を作り、スパナで回せるようにします。
専用のスタッドボルトセッターがない場合でも、手持ちの工具(スパナ2本)があれば作業できるのがメリットです。
- 専用工具なしで対応できる
- 2つのナットでネジ山を保護しながら締められる
- 現場での応急作業にも使いやすい
ダブルナットを使ったスタッドボルトの締め方の6つの手順
これからスタッドボルトを締め付けするのに、必要な道具と手順を解説します。
手順1:準備する工具を確認する
ダブルナット方式でスタッドボルトを締め付けるために必要な工具を準備します。
- スパナ 2本(ナットのサイズに合ったもの)
- ナット 2個(スタッドボルトの径に合ったもの)
- ワイヤーブラシまたはブラシ
- 潤滑剤(必要に応じて)
手順2:ネジ山・取付穴の確認と清掃
スタッドボルトを取り付ける前に、ネジ山と取付穴の状態を確認します。
汚れや異物があるとネジ山を傷める原因になるため、ワイヤーブラシ等で清掃しておきましょう。
ネジ山が傷んでいる場合は、タップ・ダイスで修正してから取り付けてください。
手順3:スタッドボルトを取付穴に挿入する
スタッドボルトを手で回しながら取付穴に入れていきます。最初は必ず手で締め、スムーズにネジが入ることを確認します。
無理に工具で回すとネジ山をなめる原因になるため、手で回せなくなるまでは工具を使わないようにしましょう。
※注意点
素手でボルトを触って、ネジ山で手を切創しないようにしてください
手順4:1つ目のナットを締める
スタッドボルトの上部(飛び出している側)に1つ目のナットをセットし、スパナで軽く締めます。ここではまだ本締めしません。

手順5:2つ目のナットをセットしてダブルナット状態にする
1つ目のナットの上に2つ目のナットをセットします。

2本のスパナを使い、1つ目のナットを固定しながら2つ目のナットを時計回りに締め付けます。

この状態になると、上のナットをスパナで回すことでボルト全体を回すことができます。
手順6:スパナで締め付ける
スタッドボルトが取付穴に対して必要な深さまで入ったら、締め付けは完了です。

ナットが不要な場合には、二つのナットを互いに反対方向に回して緩め、ナットを取り外します。
取り外したあと、スタッドボルトが正しく取り付けられているか目視で確認しましょう。
ワンポイントアドバイス
スタッドボルトの植え込み深さは、一般的にネジ径の1〜1.5倍を目安にします。
アルミ等の軟らかい材質に取り付ける場合は、さらに深く植え込む必要があります。
取付対象の材質と設計図面を事前に確認してください。
締め付け時のNG行動
スタッドボルトを締め付けるとき、以下の行為はネジ山の損傷や作業ミスにつながるため避けましょう。
- ペンチやプライヤーで直接つかむ:ネジ山を傷める。専用工具かダブルナット方式を使うこと
- 無理に工具で締め込む:ネジ山がなめる原因。手で入らない場合はネジ山の状態を確認する
- ナットのロックが不十分なまま締める:ボルトが一緒に回転してしまい締められない
- 植え込み深さを確認しない:浅すぎるとボルトが抜けやすくなる
まとめ:ダブルナットでスタッドボルトを正確に締め付けよう
スタッドボルトは頭部がなく、通常の工具では締め付けられないという特殊なボルトです。
しかし、「ダブルナット」というシンプルなテクニックを覚えておけば、専用工具がない場面でも確実に対応できるようになります。
現場での応急作業や、手元に道具が揃っていないときこそ、この技術の真価が発揮されます。スパナ2本とナット2個さえあれば作業できるため、整備に携わるすべての方にとって、必ず役立つ「知っておくべき基本スキル」と言えるでしょう。
この記事で習得できたこと(要点の振り返り)
- スタッドボルトの基本知識 … 両端にネジ山が切られた「植え込みボルト」で、頭部がないため締め付けに特別な方法が必要であること
- ダブルナットの仕組み … 2つのナットを締め合わせて「つかみ代」を作り、スパナで回せるようにする原理
- 6つの具体的な手順 … 工具の準備 → ネジ山・取付穴の清掃 → 手での挿入 → 1つ目のナット締め → ダブルナット状態の作成 → 本締めまでの一連の流れ
- 正しい植え込み深さの目安 … ネジ径の1〜1.5倍を基本とし、アルミなど軟らかい材質ではさらに深く植え込むこと
- 避けるべきNG行動 … プライヤーでの直接つかみ、無理な締め込み、ナットのロック不足、植え込み深さの未確認
あなたなら、もう大丈夫です
最初は「頭のないボルトなんてどう扱えばいいの?」と戸惑ったかもしれません。しかし、ここまで読み進めたあなたは、プロの整備士も現場で使っている実践的なテクニックをすでに手に入れています。
大切なのは、いきなり完璧を目指すことではなく、「手で回せるところまでは手で」「NG行動を避ける」という基本を丁寧に守ることです。
この基本さえ押さえれば、ネジ山を傷めることなく、誰でも安全・確実にスタッドボルトを締め付けられます。特別な才能は必要ありません。一つひとつの手順を落ち着いて実践すれば、あなたも必ずできるようになります。
さあ、実際に試してみましょう!
知識は、実際に手を動かしてこそ本物のスキルになります。まずは手元にあるスタッドボルトとナットで、今日学んだダブルナットの手順を一度試してみてください。 一度体感すれば、その手軽さと確実さにきっと驚くはずです。
そして、より頻繁に作業する方や、作業効率をさらに高めたい方は、専用のスタッドボルトセッターを1本備えておくと安心です。用途に合わせて使い分けることで、あなたの整備作業は一段とスムーズになります。
今日学んだテクニックを、ぜひ次回の整備作業で活かしてみてください!







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