「この星形のねじ、どうやって外せばいいんだろう…」と困ったことはありませんか?
通常の六角レンチでは歯が合わず、力を入れるとねじ山をつぶしてしまう星形ねじに頭を抱えている方も多いでしょう。
しかし、そんな悩みはすぐに解決できます。
星形ねじはトルクスねじと呼ばれ、専用の工具「トルクスレンチ」を使えば、誰でも簡単にトルクスねじを外すことができるのです。
この記事を読めば、あなたもトルクスレンチの正しい選び方と使い方をマスターし、トルクスねじを難なく扱えるようになります。
トルクスレンチが選ばれる理由、サイズの見分け方、使用時の注意点まで、わかりやすく解説しています。
工具に詳しくない方でも安心して取り組める内容ですので、この機会にトルクスねじの取り扱いをマスターしましょう。
目次
星形の形状をしたトルクスねじとは?
トルクスねじは、頭部が六つの耳たぶ状の突起(六角星形)で構成されたねじです。
1967年にアメリカのテキストロン社が開発した規格で、TORX®は登録商標です。
ISO10664では「ヘクサロビュラー・インターナル(hexalobular internal)」と呼ばれ、一般的にはヘックスローブまたはヘクスローブとも呼ばれます。
すべてのトルクスねじは、星形の形状を持ち、サイズに応じて大きさだけが変わる仕組みです。
トルクスねじの利点
トルクスねじには、以下のような機能性と利便性の高さにあります。
他のねじと比較してメリットがあるため、ヨーロッパやアメリカではトルクスねじが標準的に使われるようになり、自動車・バイク・電子機器など多くの分野で普及しています。
1.カムアウト防止
プラスねじでは、ドライバーが穴から浮き上がる「カムアウト」が起こりやすいです。しかしトルクスねじは、工具とねじ穴が面で接触する形状のため外れにくくなっています。
そのためドライバーを強く押し込む必要がなく、回しやすいのが特徴です。
2.高いトルク伝達効率
工具先端とねじ穴が面で接触するため、トルクがねじ穴の中心に伝わりやすく、従来のプラスねじや六角穴付きボルトに比べて効率よく力が伝達します。力が分散しにくいため、小さな力でしっかり締め付けられます。
3.作業効率の向上
トルクの伝達効率が良く、工具がねじ穴から滑りにくいです。そのため、狭い場所や奥まった場所でも安定して作業できるため、作業者の負担軽減や作業時間の短縮につながります。
4.耐久性の向上
面接触によって応力集中が減るため、ねじやビットの摩耗・破損が起こりにくくなります。実際、ねじは締結している時間の方が長く、耐久性が高いことは大きなメリットです。
トルクスねじの使用例
トルクスねじは、主にスマートフォンやパソコンなどの精密機器や欧州車で多く使われています。また製造業の現場では、切削工具の交換用ねじにもトルクスねじが用いられています。
トルクスねじを回す工具 トルクスレンチとは?
トルクスレンチは、トルクスねじ専用の星形ビットを備えた工具です。

トルクスビットはサイズごとにセットになっていることが多く、各ビットには「T10」「T15」などサイズが刻印されています。
使用する際は、ねじ頭の形状(T型かE型か)と数字を確認し、ぴったり合うビットを選びます。
※トルクスにはT型(工具が凸、ねじ穴が凹)とE型(エクスターナル、工具が凹、ねじ頭が凸)があります。T型がほとんどですが、自動車のエンジンやトランスミッション部品ではE型が使われます。
サイズ表記(T10、T20など)の説明
トルクスねじのサイズは「T○○」の形式で表記され、数字が大きいほど大きなねじ頭を意味します。
例えば「T10」と比較して、「T20」はそれより一回り大きいサイズです。
外側に刻みがあるE型トルクスでは「E○○」と表記され、同じ数字でもT型とサイズが異なる点に注意してください。
E型トルクスサイズ | 対応するT型サイズ |
E4 | T20 |
E5 | T25 |
E8 | T40 |
E10 | T50 |
E14 | T55 |
参考として、E4とT20は同じ実サイズになります。
トルクスレンチの使い方
ビットを使うときは、必ずねじのサイズに合ったビットを選びます。
トルクスねじにビットを奥まで差し込み、軸をまっすぐに保って回します。
ねじ頭と工具がきちんとかみ合うように注意し、強く押し付けずともスムーズに回せるのが特徴です。
サイズが合わないビットを無理に回すと、ネジ山を痛めたりビットが折れる原因になります。
トルクスレンチには、様々なものがあります。
使用するサイズが決まっている場合は、プラスチック製柄のドライバータイプが使いやすいです。


L字型レンチなどがあります。

使用時の注意点
ビットとねじのサイズ・形状を合わせる:必ずトルクスねじと同じ形状・サイズのビットを使用してください。形や大きさが合っていないと、ねじや工具が壊れるおそれがあります。
押す力と回す力のバランス:プラスねじのように強く押し付ける必要はありませんが、ねじが固い場合は軽く押しながら回すと安定します。
精密機器での使用:スマートフォンやパソコン内部など精密機器のねじを回すときは、磁気を帯びたマグネットビットを避ける方が安全です。
まとめ
トルクスねじは一見特殊に思われがちですが、トルクスレンチがあれば簡単に回すことが出来ます。
サイズ選びに注意し、適切に使用すれば、トルクスねじの取り扱いは決して難しくありません。
この機会にトルクスレンチの使い方をマスターして、DIYや修理の幅を広げてみてください。
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