金属を接合する技術の一つである「ろう付け」。
DIYやメンテナンス作業、副業としての工芸品づくりまで、幅広い分野で活躍するスキルです。
「ろう付けって難しそう」と感じる方も多いかもしれませんが、実は基本を押さえれば、初心者でも安全に始められる作業なんです。
本記事では、仕事でろう付けを行っている筆者が、ろう付けの基本的な概要や、必要な道具、具体的な手順と重要ポイントをわかりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、あなたも金属の接合を自分の手でできるようになります。
さあ、一緒にろう付けの世界に足を踏み入れてみましょう!
目次
ろう付けとは?概要や利点を説明します
ろう付けとは、金属同士を強固に接合するための溶接技術の一つで、接合部にろう材を流し込んで接着させる方法です。
高温で接合部分を加熱することで、母材を溶かさずに母材より低融点のろう材だけを溶融させます。
ぬれと毛管現象によって接合部のすきまへ浸透して接合させます。
母材を溶かさないため、母材への影響を最小限に抑えながら強度の高い結合が可能です。
アーク溶接などの溶融溶接と比べて、ろう付けは母材が溶けないので、母材が溶けるか溶けないかという点がアーク溶接とろう付けの違いになります。
ろう付けする際に接合部へ、ろう材を流れ込ますためには、母材をろう材の融点より高い温度へ加熱することが重要で、ろう材が母材へぬれるための必須の条件となります。
ろう付では、母材が溶融したろうによってぬれることが絶対条件である。「ぬれ」というのは、洋服が雨にぬれたり、コップの水でテーブルがぬれたりするのと同じ現象で、液体が固体に接触して固体表面上に広がる現象である。
引用:ろう付の基礎 J-STAGE
ろう付けの利点は下記になります。
・母材が溶けないので、寸法精度が良い
・ろうが狭い隙間へ入るので、気密性の高い接合が出来る
・母材とろう材の融点が違うので、再加熱で接合部を分離できる
ろう付けに必要な道具
ろう材
ろう材は、接合する金属によって種類が変わります。主に使用されるものを紹介します。
銀ろう
特徴:高強度、優れた耐食性、流動性良好
用途:貴金属、ステンレス鋼、銅合金接合
初心者でも扱いやすく、幅広く使えるためおすすめです。銀色になるため、美しい仕上がりになります。
銅ろう
特徴:コスト効率良、高強度、優れた耐食性、流動性良好
用途:銅、銅合金、鋼の接合
融点は銀ろうより高めです。真鍮の色になるため、銅や真鍮製品などのロウ付けに使用されています。
アルミニウムろう
特徴:軽量、電気伝導性が良い
用途:アルミニウムおよびその合金接合
ここに上げているろう材の中では、一番融点が低いです。
フラックス
フラックスは、ろう付けをする際に「ぬれ」を促すための促進剤です。
バーナー
母材を加熱するために使います。
加熱後のバーナー先端は、非常に熱くなってるので絶対に手で触らないように!
ヤスリ
母材の地肌を出すために、磨く時に使用します。
水
万が一の消火用として準備しておきましょう。
セラミックボード
熱の吸収が少なく、母材を効率的に温められます。
スタンド(あれば便利かも)
大きめの母材を固定するのにあると便利です。筆者はホームセンターに売ってあるアングルをつかって調整可能なスタンドを作っています。
クランプを使って、母材とスタンドを固定します。
ろう付けの基本的な手順と方法
1.ろう付け部の手入れ
ろう付け部の汚れ、油分を落として、ヤスリで磨き母材の地肌を出します。
母材を固定して準備完了です。
2.フラックスの塗布
フラックスを接合する場所へ塗布します。
フラックスの量は多すぎると、ろうが多くなってしまいます。
少なすぎると、ろうが溶けて流れません。
3.バーナーで加熱
しっかり加熱していきます。ろう付け成功のために加熱は重要です。
フラックスの水分が無くなり、固まった後に、再び液状になったらろう材をさします。
ろうが溶けてぬれたように広がってくと上手く出来てます。
ろうが溶け切らずに玉になるようなら、加熱不足です。
加熱不足の際は、いろいろな角度から母材を再度加熱しましょう。
4.フラックスを除去します
お湯に入れヤスリ、もしくはワイヤーブラシを使ってフラックスを除去していきます。
加熱後の母材も熱いため、火傷に注意しましょう!
まとめ ろう付けの基礎を習得して実践へ活かそう
ろう付けの重要なポイントはしっかり加熱することです。
筆者はろう付けで失敗する原因が加熱不足ということが分からずに苦労した経験があります。この記事を見て少しでも役立てていただけたらと思います。
慣れないうちは、失敗することがあります。筆者もすぐに習得できたわけではありません。
それでも繰り返すうちに必ず習得が出来るようになります。
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