固いネジが外せなくて困っていませんか? 「せっかく修理やDIYを始めたのに、固くて回らないネジが邪魔をして進まない…」そんな経験はありませんか?
実は、固いネジは適切な方法を知っていれば必ず安全に外せるものです。この記事を読むことで、もう固いネジに悩まされることなく、スムーズにネジを外せるようになります。
この記事を読めば分かるようになること
- ネジが固くなる5つの主な原因とその見分け方。
- ネジをなめさせないための基本原則「押し7:回し3の法則」。
- ネジ頭がまだ潰れていない場合に試せる4つの対処法。
- ネジ頭が潰れてしまった場合の7つの手段。
- ネジトラブルを防ぐための3つの予防策。
ぜひこの記事を参考に、固いネジを自信を持って外せるようになりましょう。
目次
ネジが固くて回らない5つの原因と見極め方
ネジが固くて回らない際の主な原因と、その見極め方をまとめました。原因を正しく判断することで、適切な対処法を選ぶことができます。
主な原因 | 見極め方のポイント(こんな症状はありませんか?) |
①サビつき | ・ネジの頭や周辺が茶色や赤黒く変色している。屋外や水回り、湿気の多い場所で使われている。 |
②ネジ穴の潰れ | ・ドライバーを差しても手応えがなく、空回りする感じがする。ネジの頭の溝が削れて丸くなっている、または広がっている。 |
③締め付けすぎ | ・特に錆や汚れは見当たらないのに、異常に固い。 |
④ネジロック剤・接着剤 | ・特に錆や汚れは見当たらないのに、異常に固い。 |
⑤熱による膨張・焼き付き | ・エンジンやマフラーなど、高温になる場所で使われているボルトに発生します。 |
ネジの基本の外し方!押し7:回し3の法則
プラスドライバーを使用して、ネジを回す場合に回す力を意識するのではなく、まずはドライバーを押しつける力を意識してネジを回してください。
押し付けの力が不十分だと、ネジを回した時に工具がネジ穴から浮き上がって外れてしまいます。
この現象は、カムアウトと呼ばれます。ねじ穴を変形させてしまう原因にもなるので、気を付けてください。

プラスネジには、サイズがあります。サイズのあったドライバーを確実にしようしてください。

まず試したい!固いネジの4つの外し方
ネジが固くて回らない時、力まかせに回そうとするとネジ頭を潰してしまい、さらに状況を悪化させることがあります。まずは落ち着いて、基本的な方法から順に試していくことが成功の鍵です。
ここでは、固いネジを外すための基本的な手順と、状況に応じた様々なテクニックを分かりやすくご紹介します。
潤滑剤を浸透させる(錆や焼き付きに有効)
ネジと部材の隙間に潤滑剤を浸透させ、滑りを良くする方法です。
- 用意するもの: 浸透潤滑スプレー
- 手順:
- ネジの頭や隙間に浸透潤滑スプレーを吹き付けます。
- 成分が浸透するまで、10〜30分ほど時間を置きます。
- ネジの基本の外し方(押し7:回し3の法則)を試します。
※錆がひどい場合は、スプレー後に軽く叩いて振動を与えると、より浸透しやすくなります。
おすすめの潤滑剤は、こちらの記事で紹介しています。
叩いて衝撃を与える(錆や固着に有効)
固着している部分に衝撃を与えて緩める方法です。ネジ穴が潰れていない場合に有効。
- 用意するもの: 貫通ドライバー(金属部分がグリップの底まで貫通しているドライバー)、ハンマー
- 手順:
- 固いネジに貫通ドライバーをまっすぐに当てます。
- ドライバーがずれないようにしっかりと握り、グリップの端をハンマーで数回、強く叩きます。
- ネジの基本の外し方(押し7:回し3の法則)を試します。
ボルスターを使用して緩める(錆や固着に有効)
ボルスター付きのドライバーを使用してネジを緩める方法です。スパナを使用するので、トルクをしっかりかけられます。ネジ穴が潰れていない場合に有効。
- 用意するもの: ボルスター付きのドライバー
- 手順:
1.固いネジにボルスター付きのドライバーをまっすぐに当てます。
2.ドライバーがずれないようにしっかりと握り、グリップのすぐ下、軸の根元にある六角形の部分にスパナをかけます。
3.ネジの基本の外し方(押し7:回し3の法則)を試します。

加熱・冷却する(熱による膨張・固着に有効)
金属の熱膨張・収縮作用を利用して、固着した部分に隙間を作る方法です。ネジ穴が潰れていない場合に有効。
- 用意するもの: 加熱する場合は、ヒートガン、ドライヤー
冷却する場合は、呉工業の凍結浸透ルブ - 手順:
ネジ頭が潰れてしまっている場合の7つの外し方
もしネジ頭の溝が潰れてドライバーがかからなくなってしまった場合は、以下の専用工具が必要になります。
輪ゴムを使う
潰れた溝の上に輪ゴムを置き、その上からドライバーを押し付けて回すことで摩擦力を高める方法です。軽度のネジ山のつぶれには有効です。
滑り止め液を使う
ドライバーとネジのすべり現象を防げる摩擦増強液。ドライバーの先端やネジ溝に1、2滴つけるだけで摩擦を高め、ネジのなめ予防になる。また、すでになめてしまったネジも回せる商品。
ネジ外し専用プライヤーで掴む
ネジの頭をガッチリと掴んで回すことができる特殊なプライヤーです。ネジ頭が出ている場合に非常に有効です。
ネジザウルスシリースの解説は、こちらの記事で紹介しています。
ネジ取りビット+ショックドライバーを使用する
ネジに喰い込む刃先形状のビットを、ネジ頭に叩き込んで食い込ませることによって、ネジを外す工具です。
ショックドライバーの使い方は、こちらの記事内で紹介しています。
ワニドラ(ANEX製)を使う
筆者も使用しているANEXというメーカーから、ワニドラと呼ばれるドライバーが出ています。
なめたネジも新しいネジも両方回せる特殊刃先形状をしたドライバーになります。
十字の溝が若干残っているネジであれば効果があります。ハンマーで叩き込むことで、特殊刃先がネジに喰いつき、なめたネジを外すことができます。
ネジ外しビット(エキストラクター)を使う
潰れたネジ頭にドリルで下穴を開け、そこに逆ネジのビットを喰い込ませて抜き取る工具です。最終手段として強力ですが、作業には技術が必要です。
ボルトに穴を開けて、エキストラクターを使用して外す方法は、こちらの記事で紹介しています。
グラインダーで傷をつけてからマイナスドライバーで回す
プラスネジがなめた場合、グラインダーで「ー」の傷をつけます。その後、新しく傷をつけた場所にマイナスドライバーを差し込んで回します。この時も、押す力を意識してください。
グラインダーで傷をつけます。周辺の機器を破損しないようにしてください。
火花も出るので、火災対策は必須です。

その後、マイナスドライバーを使って回します。

ネジトラブルの3つの予防策
まずは、ネジを扱う上で最も基本的かつ重要な3つの原則です。これを守るだけで、トラブルの発生率を劇的に減らすことができます。
原則 | 具体的なアクション | なぜ重要か? |
1. 道具を正しく選ぶ | ネジの十字溝に隙間なくピッタリはまる番手のドライバーを使う。 | サイズが合わないと力が分散し、溝の角を削って「なめ」の直接的な原因になります。 |
2. 正しい使い方を徹底する | 「押す力:7割、回す力:3割」を常に意識する。ドライバーをネジに垂直に当て、体重をかけて押さえつけながら回す。 | 押す力が足りないとドライバーがカムアウト現象により浮き上がり、空転してネジ頭を潰してしまいます。 |
3. 締めすぎない | 手で締める場合は「キュッ」と締まった感覚があれば十分。電動ドライバーを使う場合は、最も弱いトルク設定から始め、徐々に強く調整する。 | 過度な力での締め付けは、ネジや部材を傷め、固着して外せなくなる原因になります。 |
まとめ
この記事は、固いネジを安全かつ確実に外すための究極のガイドです。原因の見極めから基本テクニック、プロが使う応用的な方法、さらにトラブル予防策まで、段階的かつ網羅的に解説しています。
適切な方法を選択できれば、ほぼすべてのネジを外すことが可能になります。DIYや修理作業の効率と安全性を大幅に向上させる、実践的な知識が詰まっています。
この記事を読んだあなたは、以下の知識と技術を習得しました。
- ネジが固くなる5つの主な原因とその見分け方。
- ネジをなめさせないための基本原則「押し7:回し3の法則」。
- ネジ頭がまだ潰れていない場合に試せる4つの対処法。
- ネジ頭が潰れてしまった場合の7つの手段。
- ネジトラブルを防ぐための3つの予防策。
この記事で紹介した段階的なアプローチとプロのテクニックを学んだあなたは、もう固いネジを前にして臆する必要はありません。
原因を冷静に分析し、適切な方法を選べば、どんなに固いネジでも必ず外せます。これからのDIYや修理作業に、自信を持って取り組んでください!
まずは、ご自身の工具箱に今回紹介されたようなアイテムが揃っているか確認してみましょう。
そして、次にネジを扱う際は、さっそく「押し7:回し3の法則」を実践してみてください。この記事があなたのDIYライフの助けになれば幸いです。
コメント